オーストラリア・ニュージーランドの鉄道を紹介します!
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オーバーン
O-Bahn
※このページは2010年時点の内容です。発着、系統が現在と異なります。また、最高速度が90kmに変更され、都心部は オーバーントンネルが新設されました。

アデレード・オーバーン (Adelaide O-Bahn) はアデレード都心の北東に位置するハックニー (Hackney)
から都心より10kmあまり北東に位置するマドバリー (Modbury) までを結ぶ全長12kmのガイドウェイバスシステムです。
1989年に全線が開通しました。
最高速度は100kmで、それまで通常のバスで30分から40分程度かかっていた所要時間が、わずか6分から7分程度に短縮されました。
駅は都心側からクレムジグ (Klemzig Station)、パラダイス、マドバリー (Modbury Interchange) の3駅で全駅に一般道路との連絡道路が設けられています。
マドバリーはTTP (Tea Tree Plaza) ショッピングセンターに隣接しており、こちらの名前を取ってTTPインターチェンジとも呼ばれています。

バスはガイドウェイ機構を装備した専用の車両です。
メルセデスベンツ製の他、オーストラリアのカスタムバス製もあり、それぞれ一般タイプと連接タイプがあります。

前輪に装備されたガイドウェイ機構。
小さな案内輪ですが時速100kmの走行をガイドする耐久性があります。

案内輪は一般道を走行するときもそのままで、日本のガイドウェイバスのように格納されません。
(案内輪を格納するガイドウェイバスは日本のみ))

車内の清算機。
コインは運転手が計算して切符のやりとりを行います。
アデレードメトロの運賃は2時間券と1日券、2時間券の回数券しかないため、複雑な計算が必要ありません。

バス車内ではアナウンスや停留所案内表示板等はありません。
下車したいバス停が近づいたら降車ボタンを押します。
降車ボタンの数も日本ほど多くありません。
日本のバスに比べると利用難易度が高めです。
不安な時は予め運転手に希望する降車停留所を伝えておくと良いでしょう。

こちらのバスは非連接の車体です。

郊外の始発駅となるTTP駅
都心方面の乗り場はA,B,Cの3つがあります。
殆どのバスはここからさらに郊外の路線に直通します。
都心に向かうバスはオーバンの区間はノンストップの便が多く、オーバンの駅間のみの利用はあまりないようです。

A乗り場
シティ行きのバスが発着します。
GO ZONEは15分以内に次のバスが来る区間で、ベンチや屋根つきバス停の整備や時刻表などの案内の充実も優先的に行われています。

B乗り場
オーバーンを経由してアデレード空港や郊外の都市に行くバスが発着します。

C乗り場

TTP駅からは都心へ向かうバスが次々と発車していきます。

TTP駅から都心方面を望みます。
ガイドウェイのインターチェンジでは停車はせず、減速で入線します。

都心からも次々とバスが到着します。

TTP駅は島式ホームのため、下りは上り線を跨ぐため、一旦停車した後に入線します。

都心方面の上り線を跨いでTPP駅に入線するバス。

TTP駅を発車してすぐにガイドウェイ区間に入ります。

ガイドウェイ区間に入ると一気に時速100kmまで加速します。
軌道は地面に打ち込まれたパイプとその上に乗せられたコンクリート製枕木、
コンクリート製の桁からなっており、複線の軌道幅は6.2mです。

緩いカーブを行くオーバーン。
この程度のカーブでは速度は落とさずに100kmで駆け抜けます。

軌道はトレンス川の河川敷に沿って敷かれているため、沿線風景は自然に溢れています。
用地買収に費用をあまり掛けることなく建設できたため、建設費は1km当たり6億円だそうです。
ちなみに名古屋ガイドウェイバスは全線高架なこともあって1km当たり54億円と9倍も差があります。

ガイドウェイ区間では全てが立体交差となっています。
殆どの一般道はオーバーンを跨ぐため、高架区間はありません。

オーバーンは大幹線ですが構造が特殊な車体のため、バスは開業時からのものもあまり引退せずに使用しているようです。

パラダイス駅が見えてきました。
駅構内は制限40kmとなっています。
ここで停車するバスは後続の急行便を退避することができます。

パラダイス駅全景。
右側に停車しているバスを追い抜く後続のバスが見えます。
構内はガイドウェイになっていないため、一般道と同じように運用されています。

パラダイス駅に到着しました。

パラダイス駅もTPP駅と同じように行先別にA-Cに乗り場が分かれています。

TPP駅方面

パラダイス駅にはバスターミナルも併設されており、ガイドウェイでないバスとも平面で乗り換えることができます。

パラダイス駅からオーバーンに進入するバス。
パラダイス駅からオーバーンに直通する路線も多く設定されています。

パラダイス駅を出発します。
すぐにガイドウェイの区間に入り、制限速度も100kmに上がります。

緩いカーブを高速で駆け抜けます。
すれ違うバスも高速で走行している上に距離も近いので迫力があります。

クレムジグ駅が近づき、制限速度が80kmになります。

都心からTTP駅へ向かうバスと次々すれ違います。
日本のガイドウェイバスは1駅間に1つの車両しか走行できないよう規定されているため、このような続行運転を見ることはできません。

クレムジグ駅が近くなり、制限速度は60kmになります。

クレムジグ駅構内は制限40km
構造はパラダイス駅とほぼ同じです。

クレムジグ駅構内全景
左側に一般道からオーバーンに入線するための入口があります。
クレムジグという名前は(ドイツ系)ポーランド語で「黒い森」を意味します。
なぜ他国の言語で地名が付けられているかというと、この地域は宗教迫害から逃れるポーランド系ドイツ人らの移民に
よって開拓されたからだそうです。
その後の第一次世界大戦による反ドイツ感情により地名は変更されましたが、住民の陳情により復活した経緯があります。
オーバーンというドイツの技術が導入された背景にはこうした歴史が関係しているようです。
なお、基となったドイツ本国のオーバーンは廃止されました。

クレムジグ駅に到着しました。
乗り場は1つだけとなっています。
構内はガイドウェイが無いため、後続の急行バスは一般道と同じように横を抜かしていきます。

クレムジグ駅に入線するTPP駅方面行きのバス

クレムジグ駅で一般道からオーバーンに直通するバス路線もありますが、本数は通勤時間帯に限られています。

TTP駅方面を望みます。

クレムジグ駅に入線するバス。

クレムジグ駅を発車します。

クレムジグ駅を出るとすぐにガイドウェイ区間が始まります。
日本の場合、ガイドウェイと一般道の切り替えでは一旦停車しますが、オーバーンでは時速40kmで走行したまま切り替えます。

再び制限速度は100kmに上がります。

制限80kmのカーブに差し掛かります。

一般道の合流が近くなり、制限速度は40kmに下がります。

ガイドウェイの区間が終了し、一般道に切り替わります。

ここから一般道に入ります。

一般道に入ってからもバスレーンが整備されているため、自家用車の混雑を避けて進むことができます。

アデレードの中心部に到着しました。

アデレードメトロは15分以内に次のバスが来るエリア、GO!ZONEを設定し、オーバーンの区間はMEGA GO ZONEとしています。
バスを中心とした交通網においてオーバーンは重要な役割を担っています。
(上記写真は一般バス)
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