旧ミルソンズポイント駅
Original Milsons point Station

現在のミルソンズポイント駅はシドニーハーバーブリッジに繋がる高架線上に位置します。
ハーバーブリッジが完成するまでの初代ミルソンズポイント駅は跡地がルナパークになりました。

シドニーハーバーブリッジの傍にある遊園地ルナパーク。
実はこのルナパーク、ハーバーブリッジが1932年に完成するまで使用されていた かつてのミルソンズポイント駅なのです。

現在のミルソンズポイント駅はハーバーブリッジに続く高架線上に位置します。


ルナパークを対岸より拡大。

かつてノースシドニーから電車でセントラル方面に向かう場合、ミルソンズポイント駅にてフェリーに 乗換えて対岸のサーキュラキーへ、サーキュラキーからはトラムでの移動でした。
現在はハーバーブリッジを渡ると地下鉄線のシティサークルに直通し、乗換えなしでセントラル まで出ることができます。


ミルソンズポイントにはフェリー乗り場があり、鉄道線が付け替えられた現在も定期フェリー路線があります。

現在のミルソンズポイント駅は高台にあるため、海岸線沿いの住民は専らフェリーを利用しているようです。


ルナパークは歴史のある遊園地で、入場は無料となっています。
アトラクション毎に料金を支払う昔ながらの遊園地です。
シドニーのルナパークは何度も経営危機に直面しましたが、市民に愛され続けた遊園地のため、 撤退には至りませんでした。

なお、メルボルンにもルナパークがあり、そちらは入場ゲートの巨大な顔の表情が少し厳ついもの となっています。


海に面したルナパーク。

かつてはここでノースシドニー方面から地到着した鉄道より、フェリーへと人や物資が受け渡されていました。
堤防となっている石垣は年季が入っているため、鉄道時代からのものを利用しているのかもしれません。


かつての鉄道用地だけでは敷地面積が狭かったとみられ、ルナパークは海に桟橋を設けて敷地を拡大 しています。


ルナパークの園内。

かつてはここにノースシドニーから来た鉄道の終着駅、ミルソンズポイント駅がありました。


上記画像とほぼ同じアングル。
かつてのミルソンズポイント駅です。

付近に案内看板と当時の画像が掲示されています。
案内によるとミルソンズポイント駅ではトラムも乗り入れており、鉄道との連絡通路には オーストラリアで初となるエスカレーターが設置されました。



当時の画像を拡大。
鉄道とトラムの乗換え駅でもあったミルソンズポイント駅には、1924年4月27日から 1932年3月19日まで、オーストラリアでは初となるエスカレーターが設置されていました。
このエスカレーターは1932年にハーバーブリッジが完成すると一旦役目を終え、その後は タウンホール駅に移設されました。タウンホール駅では1936年から1952年まで稼動していました。


案内看板から振り返ると、ルナパークの敷地の片隅にかつてのミルソンズポイント駅跡地を転用した留置線がみえます。


留置線を拡大。

留置線の線路は6本あり、8両編成を6本収容することができます。


留置線には当時から使用されていたと思われる島式ホームが1本残されています。

海岸寄りの1線にも片面ホームが残されているようです。


鉄道からトラムへの乗換え通路があったと思われる地点。

ルナパークの敷地に沿った遊歩道となり、当時の遺構は見当たりません。


柵越しにTsetタンガラが留置されているのが確認できます。


タンガラの手前にはプラットホームと思われる構造物があります。

よく見るとタンガラの正面貫通扉が開いています。
営業中はおろか入庫しているときですら開いているところは見たことがなく、留置線ならでは の光景かもしれません。

ちなみにこのタンガラはプラグドア更新車(左)と未更新車(右)の併結となっています。


留置されたタンガラのノースシドニー方面先頭車。

金網の目が細かいため、全体を綺麗に撮影することが難しくなっています。


ノースシドニーへと続く線路。

かつては本線として使用されていたため、重厚なレンガ造りの高架橋となっています。


上記画像の高架橋のノースシドニー方面。

かつては複線であったようですが、現在は単線となっています。


上記画像の位置から振り返ってミルソンズポイント駅方面。

海とハーバーブリッジと線路が1つに収まるスポットとして、新型車両の撮影に使用される こともある場所です。

シドニー近郊からハーバーブリッジが見える箇所はいくつかありますが、シドニー中心地は 意外に起伏が激しく地下線も多いため、ハーバーブリッジを "背景"に撮影できる場所はこの旧ミルソンズポイント駅転用の留置線と現在のミルソンズポイント 駅構内からの撮影の2箇所のみと考えられます。

但し敷地外からとなるとフェンスやワイヤー、植物等の邪魔なものがフレームに入るため、 綺麗な写真は敷地内に立ち入れる関係者しか撮影できなさそうです。


旧ミルソンズポイント駅を拡大。

単線の線路に沿って空き地があるため、かつては複線で駅構内に続いていたと思われます。

構内は大きくカーブしているため、留置車両は全く見えません。


旧ミルソンズポイント駅を拡大。

平屋の建物は信号所だと思われます。
ミルソンズポイント駅として使用されていたときから現役なのか、新たに建設された ものなのか微妙なところです。


現地時刻15:30頃、旧ミルソンズポイント駅を発車したTsetタンガラがノースシドニー方面 へ発車しました。
この日は平日でしたが、常にこの時刻に回送が設定されているのかは不明。


ハーバーブリッジを背景に車両を撮影できる貴重な機会でしたが、シャッターのタイミング が遅れ、やや失敗してしまいました…

ちなみにこの場所は高さ180センチ程の金網が立ちはだかっています。


留置車両されていたTsetタンガラはノースシドニー方面へ走り去ってゆきました。


ハーバーブリッジを背景に走行するTsetタンガラ。

見れそうで実はなかなか見れないハーバーブリッジとシドニートレインの競演です。


ハーバーブリッジを渡るHsetオスカー。

ルナパークとハーバーブリッジでかなりの高低差があり、勾配を稼ぐために現在線は ノースシドニーからミルソンズポイントまでの殆どの区間は転用されることなく新線に 切り替えられました。


ハーバーブリッジの展望台、パイロンルックアウトより。
遠くに旧ミルソンズポイント駅を見ることができます。

手前に映っている青い服を着た集団はシドニーの有名観光スポットのひとつ、ブリッジクライムの 参加者です。
ブリッジクライムに参加すればこの展望台よりも旧ミルソンズポイント駅がさらによく見え、 もしかすると現在のミルソンズポイント駅との新旧比較ができるかもしれません。
ちなみにブリッジクライムにおいてはカメラを含む携帯品の持ち込みが禁止されているため、 写真撮影は不可能です。


上記画像を拡大。

鉄橋に隠れて分かり難いですが、Tsetタンガラが留置されているのが確認できます。


旧ミルソンズポイント駅の信号所を拡大。


パイロンルックアウトの展示写真。

建設中のハーバーブリッジの様子。
左上が旧ミルソンズポイント駅。



旧ミルソンズポイント駅付近を拡大。
留置線がいくつもあり、それなりの収容力があったかと思われます。


パイロンルックアウトの展示写真。

開通前年にあたる1931年に撮影されたハーバーブリッジの様子。
橋自体はほぼ完成し、橋に続く高架橋やパイロンは建設途上の状態です。

なお、右下にある工場のような建物はフォート・マッコーリー・トラム車庫です。 フォート・マッコーリー・トラム車庫は1958年に取り壊され、翌年からオペラハウスの 建設が始まりました。


旧ミルソンズポイント駅付近を拡大。

この時点では現在のミルソンズポイント駅はまだ建造されていないようです。



1932年の3月19日に現在のミルソンズポイント駅が開業しました。

駅構造は高架の島式1面2線です。


現在のミルソンンズポイント駅からハーバーブリッジを望む。

活躍の機会が少ない非冷房のSsetが入線しました。


シドニートレインで最も古い車両のSsetがミルソンズポイント駅に入線。

1972年から活躍しているSsetですが、1932年開業の現ミルソンズポイント駅から見れば 新車同然でしょう。


島式のミルソンズポイント駅に停車中のSset。





ルナパークの片隅にひっそりと存在する旧ミルソンズポイント駅。
1893年5月1日から現在までシドニーの鉄道の歴史を静かに物語っています。


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