Aシリーズ
A series

Aシリーズは1991年に導入された西オーストラリア州初の通勤電車です。
州都パースの都市鉄道近代化に大きく貢献しました。
2004年Bシリーズ登場までは西オーストラリア州で唯一の電車でした。

Aシリーズは1991-1999年にABBトランスポート(現ボンバルディア)とADトランズ(現ダウナーEDIレール)によって48編成96両が製造されました。
最高速度は130kmですが、営業では110kmに抑えられているようです。
編成は制御付き動力車と付随車の2両固定編成で、
フリマントル ← AEA+AEB → シドニー 
最大3編成6両までの運用があり、将来的には10両編成までを見越しています。

Aシリーズの登場によって、それまで活躍していたADL気動車ADK気動車(1両除く)は全て引退、ニュージーランドへ輸出されました。


ワンマン運転に対応したAシリーズの存在は労働闘争に発展し、導入に遅れが発生しました。
運用はまずアーマデール線から始まりました。
初期編成は振動が大きく、乗り心地が悪かったそうです。
1991年9月28日から1992年10月30日までに30編成が導入され、近郊列車のAシリーズへの置き換えが完了しました。


Aシリーズは従来の気動車よりも静かで加速が良いため、当初は接触事故が多かったそうです。
踏切での自動車衝突事故が初年度に3回発生し、その際はユニットを解除して無事な車両同士を組み替えて編成を再編しました。
なお、修理完了後は本来の編成に戻しています。

注意喚起のためか車両床下にも補助灯のようなものが点けられています。

また、Aシリーズは従来の車両よりもオーバーランしやすかったようで、この制動問題が解決されて以降は安定したサービスを提供してきました。
(新型車両にオーバーランが頻発する事象はメルボルンのシーメンスでも見られました )


登場当初は磁気反転式の行先表示機でしたが、1998年頃からLED式になりました。
LEDになってから視認性が向上し、停車駅パターンも合わせて表示するようになりました。

PERTH ← パース行き 各駅停車
PERTH C   ← パース行き 停車駅パターンC
TRANS PERTH ← トランスパース(回送、行先の駅が設定に無い場合)
DEPOT    ← 車庫(回送、入庫若しくは出庫)

なお側面には行先表示機はありません。


25KV対応のシングルアームパンタグラフを西寄りであるAEAの車両に搭載しています。


車内。
座席はオールロングシートです。
当初は扉間が集団離反式のクロスシートでしたが、立席定員を増やすために改造されました。
現在の1両当たりの定員は座席72人、立席82人。
2両1編成で計308人です。


扉付近の座席は優先席となっており、一般座席に対して通路に張り出ています。。


扉付近は千鳥状に車椅子スペースが設けられています。


運転席側。
窓は無く、前面展望はできません。


車両妻面。
押しボタン式の半自動ドアで仕切られています。
かつて使用されていた気動車は幌が無かったため、Aシリーズでは旅客が自由に通り抜けることができるようになりました。


妻面の半自動ドアは押しボタンで開けることができます。


扉は全て押しボタン式の半自動となっています。
走行中に扉のボタンを押すとランプが点灯し、駅到着後に自動で開きます。
走行中に押しボタンでドアを開ける”予約”ができるのは全国的に珍しいのではないでしょうか!?


ドアにはホームとの隙間を埋めるためのステップが張り出しています。
格納する等のギミックはありません。


空調は日本では一般的なラインデリアとは異なり、空調の風は窓の上に沿ったスリットから排出されます。
(画像では路線図の上あたりの隙間)
これは日差しの強いオーストラリアにおいてはガラスを冷やしながら冷房をする方が、質量のない空気のみを冷却するよりも 気温を保ちやすいためだと思われます。


車内には次の停車駅を表示するLEDが扉付近から車内中央を向くように設置されています。




車内LED表示パターン
上 駅発車後に次の停車駅を表示(例:カラカッタ駅)
中 駅が近づくと開く扉の案内を併せて表示
下 駅到着後は消灯し、扉が閉まる告知を点滅で表示


駅を発車するAシリーズ
駆動装置と制御装置の音が聞き取れます。
恐らく抵抗制御ではないでしょうか…


パースの鉄道に革命をもたらしたAシリーズ。
これからもパースの鉄道輸送を支える主力であり続けるでしょう。


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